「過料」については過去のブログでも触れたことがあります。
今日は、どうして過料の通知が来てしまったのかわからない、そんな事例を書こうと思います。
「理由がわからないなんて、そんなことあるのか」
と思われそうですが、意外や多いのです。
一人社長で法人経営をしているAさんがいたとします。
ある日、(Aさんにとっては)突然、裁判所から通知が届きました。
書類を読むと、過料に対して不満を申し立てる方法(異議申立て)を書いた紙のほか、相談窓口が載っています。
相談も何も、なにがなんだか分かりません。
きちんと毎年確定申告もしているし、売上だって出している。
どうしてここに来て、お咎めを受けなければならないの?
Aさんは半信半疑ながら、相談に来てくれました。
「私の何が、いけなかったのでしょう?」
実は、Aさんのような経営者は少なくありません。
そんな時、ほぼ共通していることがあります。
「定款に、任期についてどのように書いてありますか?」
私がお聞きすると、「え?定款?」といった反応がほとんどです。
Aさん「定款って、新潟駅の南口でもらった紙ですよね?(公証役場のことです)家の金庫に入れたままでしたが、今日は言われるままに持ってきました」
私「では、それを一緒に見てみましょう」
Aさん「えっと・・・任期?何条ですか?」
私「だいたい、どこの法人や会社でも真ん中くらいに置いていることが多いですよ」
Aさん「真ん中・・・ああ、これかな?設立以降2年ごとの事業年度の終了をもって改選とする?はい?」
私「この意味は、2年ごとに役員の変更登記をするということなんです」
Aさん「ええっ!?そんなの初めて知りました!」
別の事例です。
同じようにBさんからも相談を受けました。
Bさんは過料こそ受けていませんが、やはり不明点があっての相談でした。
Bさん「法務局で5年前にも登記してますから、今年が5年目ってことは覚えているんです。法務局の職員さんからも、5年ごとって言われましたから」
私「どうして、5年ごとなんでしょうか?」
Bさん「え?だって、そう言われたから・・・」
私「定款に、任期についてどのように書いてありますか?」(2回目ですね)
Bさん「えーっと、5年目の定時株主総会が終結したとき任期満了とする?これのこと!?」
私「そうですね、5年の根拠はそこなんです」
Bさん「知らなかった!みんな、どの会社も5年なのかと思っていました!」
私「定款は、会社によってそれぞれ違うんですよ」
定款は、作って終わりではありません。
私は定款を読み合わせ、経営者の方と理解を深めることが必要だと強く思っています。
根拠もわからないまま、あっという間に年月が去って、いきなり過料の通知が来るなんて酷だと思うからです。
希望を胸に法人・会社を設立し、そこで定款も生まれたはずです。
スケジュールの管理が厳しくなってきた、と思うようになりましたら、どうぞ司法書士を頼ってください。
きっと、調整から定款改良の提案から、さまざまな助言を差し上げるはずです。