登記申請できない!|役員の任期切れとは?

今日は役員の任期について考えてみましょう。

特例有限会社(いわゆる昔の有限会社)や持ち分会社(合同・合資・合名の各会社)では役員に任期はありませんので、株式会社に限ってのテーマです。

株式会社では取締役の任期は原則として2年、最長10年までと定められています。

定款に何も規定がなければ原則の2年が適用されます。

しかし会社の設計上、自由に任期を延長することが認められています(役員変更の登記申請の手間を省くため、という目的も重要です)。

では、最長の10年を設定した場合、どんなことが起こるでしょうか。

10年に一度の役員変更となりますから、登記申請の手間も登録免許税も軽減されますね。

メンバーを変えずに経営できるので、基盤を強化するのにも役立ちそうです。

が、私の経験上、なかなか厄介な問題を孕んでいると思います。

ちょっと事例を出しましょう。

 

事例の会社には取締役会はなく、任期は10年、2人以上の取締役で経営する、という定款規定があるとします。

平成20年6月、定時株主総会にて取締役に就任したAさんがいるとします。

ほかの取締役は代表取締役でもあるBさんです。

翌年の平成21年10月、代表取締役Bさんが死去したので、臨時株主総会にてAさんは代表取締役に就任しました。

また定款の規定(取締役2名以上)がありますから、同会にて取締役Cさんがあらたに就任しました。

経営は順調に進み、Aさんの任期10年目となる平成30年となりました。

無事に取締役として、平成30年の定時株主総会で重任(同じ役職を続けることを重任と呼びます)されました。

また平成31年に、定時株主総会にてCさんは取締役を辞任し、Dさんがあらたに取締役に就任しました。

そしてますます経営に腕を振るい、今年(令和4年)の定時株主総会では新しい事業を開始するとともに、新しく取締役Eさんを増員することにしました。

さて、会社の目的変更と役員増員の登記をしたい・・・・

のですが、「登記できません」と却下されてしまったのです。

いったい何故でしょうか?

 

実は、事細かに時系列を書きましたが、私は重要なことを書いていません。

それは、Aさんは「任期が10年」をいうことをしっかり覚えていたにも関わらず(株主総会を何度も開いていたにも関わらず)、まったく自分の登記申請をしていなかったのです。
要は株主総会を開いて終わり、でした。

Aさんは先代の代表取締役が行った「平成20年6月取締役就任」を最後に、平成30年には任期が切れていたのです。

と同時に、取締役でないと代表取締役にはなれませんから、平成30年に代表取締役としても資格喪失していたことになります。

そして今年、Eさんが取締役として就任したことにより、もはや会社に取締役としてとどまることもできなくなった、(Aさん以外で2名の取締役が存在することになった)というわけです。

残念ながら、平成30年の定時株主総会では、取締役および代表取締役としての重任決議をして、登記申請すべきでした。

よって、平成30年以降現在まで、Aさんは任期切れの状態だったのです。

 

これが長期の任期を設定した場合の落とし穴です。

登記に疎くなってしまい、また自己流の解釈で事を進めてしまうため、かなりの労力を無駄にしてしまう可能性があります。

取締役と代表取締役の違いを、おそらくAさんは知らなかったのですね。

 

会社によって役員も任期もまるで異なります。

必要な法的知識は、いっけん面倒でも一度覚えれば忘れません。

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