令和3年(2021年)9月1日、当時の菅内閣の目玉公約の一つでもあった「デジタル庁」が発足しました。
最初は懐疑的だった「デジタル化」ですが、このコロナの流行で社会が一変したことにより、一気に認知度が高まりました。
今やZOOM、Microsoft Teamsなどに代表されるバーチャル交流機能は広く知れ渡っています。
スマホやPCを使って幅広く仕事ができるようにもなりましたね。
では、この便利で迅速なバーチャル交流を、株主総会でも使うことができるのでしょうか。
大きな会社になればなるほど、多くの株主が存在し、その中には遠隔地にも株主が住んでいる可能性があります。
これまで株主総会といえば、現地集合が原則でした。
出席不可能な場合には、書面やメール等による委任状を送るのが通例でした。
なぜなら、会社法が、株主総会を開催する「場所」を決めるよう定めているからです。
これに対し、バーチャルとリアル出席の両方を認める、ハイブリッド型バーチャル株主総会が登場しました。
「場所」を例えば本社の会議室とし、リアル参加できる株主と、バーチャル参加する株主が混在するという形式です。
これなら「場所」があるので違法にはなりません。
しかし、それでもやはり、バーチャルだけの、いわゆるバーチャルオンリー株主総会の要望が高まりました。
結果はどうなったと思いますか。
令和3年(2021年)6月、経済産業省は特例を認めたのです。
すなわち、産業競争力強化法と銘打って、会社法の特例として、「場所の定めのない株主総会」を制度として創設し、バーチャルオンリー株主総会の開催を可能としました。
ただし、これには要件があります。
①上場会社であること
②経済産業大臣および法務大臣の確認を受けること
(株主数100名以上など)
③定款の定めがあること
④株主総会招集時に、これら要件を完備していること
この点、③については、2023年6月まで、定款に「場所のない株主総会を開催することができる」の文言があると見なしてもらえるので、あまり心配はありません。
いかがだったでしょうか。
法制度は現代に通用するよう、刻々と動いています。
社長や個人事業主が、日々の業務をこなしながら、法制度に精通するのは大変だと思います。
是非、私たち法の専門家に、声をかけてみてくださいね!