今日は、私の友人から受けた相談事を題材にします。
皆さんは企業と何らかのつながりを持つとき、契約書を交わすと思います。
その契約書の中身を、きちんと考えてサイン・押印されているでしょうか。
というのは、一見ちゃんとした書類に見えても、実は・・・という場合があるのです。
友人は個人事業主ですが、アルバイトとして、とある会社と業務委託契約を結びました。
友人は国家資格を持つ、リハビリ等の施術士です。
しかし、時が経過するにしたがって「何かおかしい」と思うようになりました。
まるで自分が会社に雇われているような、そんな指示が与えられているというのです。
さっそく当時の契約書を見せてもらいました。
書面にはたしかに「業務委託契約書」とあります。
が、紙の契約書であったにも関わらず、印紙が貼ってありませんでした。
税務調査が来たらどうするのでしょう(もっとも企業が恐れていることでしょう)。
さらに私は一読して、内容が崩壊していることに気づきます。
まさかと思われるかもしれませんが、宛名である「甲」「乙」が逆転していたのです。
例えば、甲(友人)が乙(会社)に場所を提供する、などという事態になっているわけです。
ちなみに業務委託契約とは、ある業務を委託する者(委託者・ここでは会社)と、その業務を行う者(受託者・ここでは友人)との契約です。
友人「会社に法務部はあるっていうんだけど」
私「もしかしたら、大学の法学部を出た人を置いているだけで、実務に通じていないかもしれないね」
また、内容も不明確でした。
業務内容や業務提供の場所、報酬支払時期など、大切なことはすべて「別紙」で定めるとなっていました。
そしてその別紙は友人に渡されていないのです。
これでは後でいくらでも改ざんが可能となってしまいます。
友人「都合が悪くて日時を変更したくても、無理にねじ込んでくるんだよね」
私「雇用ではないというんだから、立場は対等なはずなのに?」
友人「反論しても、こちらの言うことなんか聞かないし」
私「直接取引が5年間禁止っていうのも厳しいね。お客さんが直接(友人を)希望したら、どうするの?」
友人「そこらへんは最近やっと、個別で相談できるようになったみたい」
契約書を見る限り、不誠実な対応をするんだろうなとは感じましたが、そこまでとは思いませんでした。
また会社とのやり取りはメールなどのオンラインとのことですが、長期休暇では別の日にシフトを埋めるような文章になっていました。
私「この会社と、まだ付き合うつもり?」
友人「自分の仕事に時間が取れなくて支障が出てきたから、そろそろ終わりにしたいんだ」
私「契約書では解除権が認められているから、話をしてもいいかもね。60日前に予告ってのが気になるけど」
友人「前にも打診したんだけど、もう少し待ってと言われて、そのままになってる」
私「・・・(言葉もない)」
書面の体裁だけ整えて、内容が杜撰な例はきっと沢山あると思います。
なんだかおかしいな、という直感はほぼ例外なく当たっていると私は思います。
質問をしたり第三者の意見を聞いてみたりする権利は誰にだってあるはず。
特に今回のような業務委託契約では猶更です。
ちょっとした疑問でも、放っておかずに解消するーーーそのお手伝いができれば良いと思います。