新年度の開始に備えて、会社基盤を大きくしたいと考える方も多い時期。
特に公募事業に参加するために、採択の条件として資本金を増やす必要性がある場合も。
「では手持ちの貯金を自分の会社に投入すればよいのでは?」
確かに手っ取り早いし、数字も増えそうに思えます。
しかし、会社という法人と、社長である個人は全くの別人格。
ここに気づかず、さて困った・・・。
今日はそんな記事になります。
株式会社が資本金を増やすことを「増資」ということは、以前当ブログでも書いたことがあります。
会社の資本金は株式発行により増やすことが一般的です。
(剰余金の資本組み入れ、など他の手段もありますが、今回は割愛します)
では、その株式は、誰に対して発行するのでしょう?
①誰でもよい
②特定の人
このどちらかになるはずです。
そして、多くの場合は②の特定の人、例えば家族や友人になると思います。
もちろん①の場合もありますが、これは多方面から多額の出資を募ることになるので、大会社を想定しているといってほぼ間違いないでしょう。
さて、友人のAさんが社長の次年度計画に賛同し、資金を出資してくれることになったとします。
このAさんが、そのまま資金を会社の口座に入金するわけにはいきません。
株式を買う、というAさん個人を、会社が認めないといけません。
つまり、会社に社長以外の役員(取締役など)がいる場合、その意見を聞かなければいけません。
取締役会が設置されているのであれば、まさに取締役会決議が必要です。
また一人社長であり、ほかの役員がいなかったとしても、株主が他にいる場合があります。
その場合も、株主の意見を聞く必要があります。
この場合は株主総会決議となります。
そして本題はここから。
どのような株式を、どれだけAさんに渡すのか。
Aさんが最大株主になってしまうと、これからの経営に大きな支障が出てしまうからです。
会社法はその点を予想して、「種類株式」なども設定しています。
つまり、Aさんには経営に立ち入らないような内容の株式を発行することができます。
また、株式の金額も、Aさんに特に有利にならないよう設定することも考えられます。
たんに「増資」といっても考えなくてはならないことは山積しており、なかなか一度で理解することは難しいでしょう。
前に戻りますが、会社と個人は別人格であり、簡単にお金の流れを操作できないことは覚えておくべきですね。
このような一見して難解な手続きも、ぜひ司法書士にお任せください。
社長さんの目的にそった資本金額の変更・株式発行につき、きっとお力になれると思います。