株式会社には取締役を置くことが法定されています。
このうち、代表権を持つのが代表取締役、その他が普通の(平(ひら)とも言う)取締役です。
さて、今年の4月1日から18歳成年制度が本格的にスタートします。
民法の改正によるものですね。
では他に、法の定めによって、未成年が社会的に認められる制度はないのでしょうか。
実は、会社法では、18歳まで待たずとも、取締役の就任に年齢制限はありません。
17歳でも16歳でも、さらに低くても、法のうえでは取締役に就任できるのです。
「そうか、では社長の幼い子供を取締役にできるのですね!」
いえ、ちょっとお待ちください。
やはり限度はあり、法定代理人(両親の場合が多いですね)の同意が必要です。
会社経営のためには一定レベルの判断力が必要であり、また会社との間で、彼・彼女に仕事を任せるという、委任契約を結ぶことになるからです。
さらには、取締役に就任するには印鑑証明書が必要となるのですが、多くの市町村では印鑑証明書の前提である、印鑑登録が可能な年齢は15歳以上となっています。
ですから現実的には、15歳から取締役に就任可能、と考えられますね(印鑑証明書が不要な場合もありますが、ここでは割愛します)。
ところで、この背景には、諸外国の事例を参考にしたことがうかがえます。
というのは、アメリカでは12歳の大社長が現実に存在していたというのです。
(スケールが大きい、さすがアメリカというべきか・・・?)
少し余談になりますが、取締役に就任できないとされる人は、令和元年の会社法改正でさらに減っています。
これも驚かれるかもしれませんが、以前は成年被後見人(成年だが事理弁識能力を欠くと判断される者)などは取締役になることはできなかったのですが、この改正で就任可能となりました。
日本の急速な高齢化を見越した改正だったのでしょうか。
周囲の人たちの慎重な判断が必要なのは、言うまでもないですね。
会社の取締役は、貴重な人材です。
これからの会社の命運がかかっていると言っても過言ではありません。
その人選から、影響から、判断すべき内容は多岐に及びます。
様々な視点を持つためにも、ぜひ私たち司法書士と一緒に考えましょう!